先日、ある大学研究室の参加型学習に関する実験に参加してきた。そして、僕らボーイスカウトが普段我流でやっている参加型学習について、方法論がしっかり存在することも思い出した。考え直すと、バングラデシュでやっている農民を対象とした保健衛生啓蒙活動、ネパールでやっている農民や子供を対象とした自然保全・植林活動、そしてモンゴルで行った母子家庭を対象とした石鹸作り講座、どれも日本人側で場を作り、対象者に参加してもらいながら、いろいろな事柄について学んでもらうという内容である。
(写真:ネパールでPax IV Hyperによる自然保全に関する説明を熱心に聞く子供達。みんな、純粋な目をしてますよね。)
ボーイスカウトの各種国際協力活動において、参加型学習方式を取り入れている理由は単純で、現地の言葉を満足に話せない僕らにとって、身体を動かし、ゲーム感覚・クイズ感覚で村人と取り組めることが、僕らの知識不足・言語力不足をカバーしてくれるものだからであった。したがって、如何に村人や子供を巻き込むか、巻き込むことによって何を効率的に伝えたいか等、についてはあまり考慮されていなかった気もする。もちろん、活動に使用するキットをみんなで議論して作成したり、説明文に関して、できるだけ簡単かつ論理的に説明できるように準備はするものの、それら一連の活動を「参加型学習」として評価することはなかった。NGO・NPOではファシリテーションやリーダーシップなど参加者を引き込む術を研究したり、実践しているが、そのような専門的な技術を我々ローバースカウトは学んでこなかったし、それらを専門としたアドバイザーも多くないのではないだろうか。
ベーデンパウエルがイギリスのブラウンシー島でボーイスカウトをはじめた当初から、ボーイスカウト活動は青少年の参加型学習であったはずである。頭だけを動かして学ぶ勉強ではなく、身体を動かし、やりながら学ぶ「Learning by Doing」がボーイスカウトの本質の一つであると思う。それなのに、子供の巻き込み方、農民の巻き込み方も知らないようでは、さびしい。これを機会に、参加型学習的視点を取り入れ、各種活動に取り組んでいきたいと思った。
世界の持続可能な発展のためにも、原住民の参画は必須である。いくら先進国が外からモノや知識を投入しようとしても、現地に定着するなり、現地の人が自ら動かない限り、それは持続可能ではない。青少年教育のリーダーとして、そして国際協力に携わる人間として、今後も勉強が必要な事項を一つ思い出してしまった。