特にこの1年間、スカウトと災害の関わり方ということについて、被災者の方々には大変失礼ですが、私にとっては考えさせてくれる機会を多く持つことができ、感謝しています。逆にいえば、誰かが被害を実際に受けないと、そういったことを普段から考えていない自分の浅はかさに戒めをもたないといけません。
「安全」という言葉が先行してしまうのは、止む得ないのかもしれませんが、災害時に関わらずスカウトが活動する時は、一番に成人指導者やその他の方々から指摘を受けます。確かに、二次災害等を含めると災害自体、私達人間にとっては、想定不可能なことなのかもしれませんし、かえって被災者、救援者の迷惑になってしまうということも否めません。
また、場所によっては、故 ジョン・ミトワ氏が、「ミトワ十話」の第 十 話、ほんとに大切なもので触れられていますが、売名行為と思われてしまうこともあるようです。
※ 参考資料
http://www.scoutnet.or.jp/‾innami/scout/mitowa.txt
しかし、募金活動だけがスカウトとのできることなのだろうか?
と考えるとき、、、
私は、素直にそれだけが唯一の方法ではないのではないかと思うのです。
確かに、第一次的(プライマリー)な支援ということ、例えば、ヘリコプターによる輸送であったり、医者の派遣ということはスカウトには無理なのかもしれません。しかし、二次的(セカンダリー)な支援ということはスカウトでもできるのではないかと思います。
※ ここで指す二次とは、時系列(半年過ぎた)や安全がある程度確保されている状況下を指します。 自衛隊の様な存在と云ってしまうと余計混乱させてしまいそうですが、ニュアンスとしては近いのかもしれません。
スカウト運動は、スカウトメソッド(教育法)に沿ったユースプログラムの範囲内でしか提供することはできません。もし、範囲を超えるということがあるのであればプログラム開発を先にしなくてはなりません。
※ 参考資料 (日本連盟ウェブサイト内)
ジャン・カサニュー 世界スカウト機構 事務次長 来日講演
http://www.scout.or.jp/j/info/intl/ias-031101.pdf (p7 後半部分参照)
ここで、カサニュー博士が挙げているのは、スカウティングの独自性も踏まえてのことです。確かに、スカウト運動では2−3歳の子供たち(ストリートチルドレン)に対するプログラムのノウハウを持っていません。果たしてそれは、スカウティングとして手を出すことなのだろうか? という疑問が残ります。他の組織などと連携すれば解決する問題なのかもしれないからです。
では、どの様なことをすればよいのかと、迷っている世界中の青少年に対して、津波災害に関するプロジェクトへの取り組み方のガイドラインを世界スカウト機構から、今年1月各国連盟国際コミッショナー宛に配布されました。
※ 参考資料 (世界スカウト機構ウェブサイト内) 英語
http://www.scout.org/front/docs/C0508tsunami_e.pdf
http://www.scout.org/front/docs/C0503tsunami_e.pdf
http://www.scout.org/tsunami/docs/tsa_letter.pdf
この中で特記事項としては、USD$10,000までのプロジェクト費用が選考後、各プロジェクトに当てられるというものです。これは、ユース年代には一番大きなことかもしれません。
日本の場合は、直接津波被害があったわけではないので、どこかのスカウトと協同してプロジェクトを進めるということになりそうですが、今までのノウハウを活かせれば意義のあるプロジェクトになるのではないかと考えます。
既にスリランカやタンザニアでは、連盟を挙げてこのプロジェクトに賛同し、実施しています。
※ 参考資料 (世界スカウト機構ウェブサイト内) 英語
http://www.scout.org/tsunami/tsunami_projects.shtml
長期のプロジェクトになるのかどうかも不明ですし、日本連盟としてどの様に扱っていくのかもわかりませんが、通常の日本連盟規定に沿いこのプロジェクトを実施するには、6ヶ月前までに申請しないと活動を行うことができませんし、多県連に跨るスカウトでメンバーが構成される場合はさらなる事務処理上の困難も付きまといます。
現在では、この様な情報を手にいれているスカウトもかなり限定的になってしまっているため(注:英語がある程度読めればネット上にはあります)、例えこの事に興味があったとしても特定のスカウト内でしか処理されていないことが残念です。どの様にすれば、多くのスカウトにこの様な面白い魅力的なプロジェクトがあることを伝えれるのだろうか?そして、そのスカウトと共にどの様にプロジェクトに関わっていけるのかを考えていきたいです。
一先ず、個人的にできることとしては、恐らく 「スカウトムート2005」 のプログラム内に組み込み、広報含むプロジェクトの立ち上げに向けた議論を行うことや、まだ参加が決定しているわけではないですが、「世界スカウトユースフォーラム」で、パートナー国のスカウトを探すといったところです。後は、参考資料としてスリランカ・タンザニアの両連盟に資料提供を依頼するくらいでしょうか。
◆◆◆募金以外に災害に対して何かできるのではないか?◆◆◆
と考えている、あなた。必ずしも外国に行って何かをするだけではなく、この件について一緒に考えて活動してみませんか?! 一番大切なのは、恐らく英語力や経験、情報ではなく被災者に対する思いなのかもしれません。