昨日、無事休暇先のエジプト・イタリアから帰国いたしました。今回の旅は、(精神的には)まさしくバクシーシとの戦いであったので、それについて日本のボーイスカウトでの教えと絡めて書きたいと思う。
エジプト旅行中、タクシーの運転手や、各遺跡の(頼んでも無い)ガイドなどに毎日バクシーシを求められた。バクシーシとはもともとイスラムの教えから由来し、富める者が貧しいものに「ほどこし」を与えることであるそうだ。しかし、現状のエジプトの観光地では、このバクシーシとチップがごちゃまぜになり、とにかく何かサービスをしたら(こっちが頼んでも無いサービスでも)バクシーシを要求してきた。人によっては渡したにもかかわらず、金額が少ないとかで、さらによこせと要求してきたものも複数いた。
私なんかは、ボーイスカウト日本連盟初代総長の後藤新平の言葉である、「自治の三訣」により、
人のお世話にならぬよう
人のお世話をするよう
そして、報いを求めぬよう
と教わってきた。つまり例えサービス業だとしても、最低限の賃金以上は求めず、お客さんにサービスするのが、美しいと思っていた。これは儒教や仏教の教えから来たものかもしれない。
しかしエジプトではそうではなかったのである。サービスをされた後、結局「チップをよこせ」と言われたのでは、気分はよくない。少し調べてみたところ、バクシーシについてはエジプトだけでなく、インドでも日常的に行われているようである。イスラムの教えということなので、ある程度までは正当化されても良いと思うのだが、個人的には同じイスラム教徒の多いバングラデシュでは、そこまであからさまな(サービス業の)物乞いとは会った事が無いのでエジプトでのバクシーシについてはどうかと思った。
本来のバクシーシの意味が、ある少数の私欲を持った人たちにより変に解釈され、それに触れた異文化の外国人が嫌な思いをする。今回はとても些細な例かもしれないが、このような文化の誤理解・ミスコミュニケーションが宗教戦争なんかにもつながるのかなぁと考えた1週間でした。