スカウトによる継続的な畑の管理

前回に引き続き、新潟での話題を。もともとパックス村という一つのエコシステムを管理したかった我々にとって、I君が一人で住んでいる古民家や彼管理の畑をいじらせてもらえるのは、プロジェクトの理想的なやり方に近い。もともとは家、畑、川、山など、全部に手を入れたいと思っていたし、古民家があるならがっつり改修したいとも思っていましたが、2,3ヶ月に1回の訪問するペースではそこまで多くのことができないのが現実なのです。

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そんななかで、今回は古民家のすぐ隣の休墾地に鍬を入れ、それが家のすぐ隣であることからも継続的に管理しやすくなったのは一歩前進でした。まずは豆類を育てようという話になっています。枝豆でも育てて、秋にはそれをつまみに古民家の囲炉裏を囲んで一杯という風にできるようしっかり育てていきたいですね。

今回の訪問時には集落の農家の方のお手伝いとして、用水路の掃除も行ったのですが、その農家の方々の話では、跡取りがいないため、自分が農作業ができなくなったら、山・畑を管理しきれなくなる、そうなった場合は君らのグループでやってくれないか、という話をされました。全員が都会に住んでいる場合は正直、それは不可能な話でありますが、一人でも現地で生活をしている人がいて、さらに都会に住んでいるメンバーもそれぞれ団や地区のスカウトを連れて行ったり、自ら行ったりして、月に1回くらい常に誰かが訪問しているようなペースを作れれば、スカウト管理の畑・田んぼというのができるのかなぁと話をしてました。

ムート等のイベントは前後の準備・反省はあるものの、メインは数日で終わるものですし、また各種海外派遣も基本的には一緒です。農業・畑の管理ともなると、断続的な活動ではありますが、雪で埋まる冬は別としても数ヶ月にも及ぶ長期プロジェクトになります。しかも訪問の度にやるべき内容は変わります。今回の新潟滞在では、そんな長期的な管理の必要なスカウトプロジェクトについて考えさせられました。

パックス村開発プロジェクト

Pax IV Hyperのパックス村開発プロジェクトウェブページに概要は書いてありますが、ブログにおいてこのプロジェクトについてしっかりと書くのは初めてかもしれません。新潟県上越市桑取でやっている農作業を中心とした体験活動を総称してパックス村開発プロジェクトと呼んでいます。今回は4/29から5/2まで4泊5日で6名で訪問し、現地に住んでいるパックスメンバーのI君にお世話になりました。これまでで最も大人数で長期滞在が出来たので、いろいろと楽しいこと・大変なことがありました。

そもそもプロジェクトの経緯としては某TV局の番組を真似して、自分達で村を作りたいというのが発端だったのですが、実際のところはI君の住んでいる古民家を掃除・整備したり、管理している田畑を手伝わせてもらっているというのか現状です。それでも少しずつ出来ることが増えてきています。

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今回やってきたことは、数年間使用されていなかった畑の開墾、田植えに備えた幹線/支線用水路のごみ掃除でした。また日中の活動以外にも、地域の農家の方々との懇親会やパックスメンバーでのカレーパーティ等、とても充実した活動が出来ました。

海外派遣やムートなどのイベントに比べると、あまりに長期に渡る活動で、しかも地味なのですが、社会人ローバーにとっては週末だけで異文化を体験できる活動であり、大学生ローバーにとっても海外派遣やイベントとは違った、本物の農業活動、農村住民との交流ができる面白いプログラムなのかなぁと思っています。次回はこの話の続きで「スカウトによる継続的な畑の管理」みたいなことについて書きたいと思っています。

平成17年度ボーイスカウト埼玉県連盟国際セミナー

平成17年度ボーイスカウト埼玉県連盟国際セミナーに参加が決まりました。
まだメンバーにより企画・計画中ですが、現在のところ以下のような当日スケジュールを準備中です。

■1. 世界とボーイスカウト 〜導入:世界って広いのだね〜
■2. Pax IV Hyper独自の海外派遣 〜派遣のいろは:ネパール派遣〜
■3. 他にもあるのよ海外派遣 〜違いをみよう:バングラ派遣〜
■4. 海外派遣ってさ、どうなのよ? 〜パネルディスカッション〜
■5. 派遣だけじゃないよ国際って 〜こんなチャンスもあるんだよ〜
■6. 最後に 〜Pax IV Hyper代表から〜

是非、皆さんからの事前の意見・質問等を頂けたらと思います。本番までにブラッシュアップして、セミナー本番をより良いものにしていきたいと思っています。

スカウト と Tsunami の 関係。

特にこの1年間、スカウトと災害の関わり方ということについて、被災者の方々には大変失礼ですが、私にとっては考えさせてくれる機会を多く持つことができ、感謝しています。逆にいえば、誰かが被害を実際に受けないと、そういったことを普段から考えていない自分の浅はかさに戒めをもたないといけません。

「安全」という言葉が先行してしまうのは、止む得ないのかもしれませんが、災害時に関わらずスカウトが活動する時は、一番に成人指導者やその他の方々から指摘を受けます。確かに、二次災害等を含めると災害自体、私達人間にとっては、想定不可能なことなのかもしれませんし、かえって被災者、救援者の迷惑になってしまうということも否めません。

また、場所によっては、故 ジョン・ミトワ氏が、「ミトワ十話」の第 十 話、ほんとに大切なもので触れられていますが、売名行為と思われてしまうこともあるようです。
※ 参考資料
http://www.scoutnet.or.jp/‾innami/scout/mitowa.txt

しかし、募金活動だけがスカウトとのできることなのだろうか?
と考えるとき、、、

私は、素直にそれだけが唯一の方法ではないのではないかと思うのです。
確かに、第一次的(プライマリー)な支援ということ、例えば、ヘリコプターによる輸送であったり、医者の派遣ということはスカウトには無理なのかもしれません。しかし、二次的(セカンダリー)な支援ということはスカウトでもできるのではないかと思います。
※ ここで指す二次とは、時系列(半年過ぎた)や安全がある程度確保されている状況下を指します。 自衛隊の様な存在と云ってしまうと余計混乱させてしまいそうですが、ニュアンスとしては近いのかもしれません。

スカウト運動は、スカウトメソッド(教育法)に沿ったユースプログラムの範囲内でしか提供することはできません。もし、範囲を超えるということがあるのであればプログラム開発を先にしなくてはなりません。
※ 参考資料 (日本連盟ウェブサイト内)
ジャン・カサニュー 世界スカウト機構 事務次長 来日講演
http://www.scout.or.jp/j/info/intl/ias-031101.pdf (p7 後半部分参照)

ここで、カサニュー博士が挙げているのは、スカウティングの独自性も踏まえてのことです。確かに、スカウト運動では2−3歳の子供たち(ストリートチルドレン)に対するプログラムのノウハウを持っていません。果たしてそれは、スカウティングとして手を出すことなのだろうか? という疑問が残ります。他の組織などと連携すれば解決する問題なのかもしれないからです。

では、どの様なことをすればよいのかと、迷っている世界中の青少年に対して、津波災害に関するプロジェクトへの取り組み方のガイドラインを世界スカウト機構から、今年1月各国連盟国際コミッショナー宛に配布されました。
※ 参考資料 (世界スカウト機構ウェブサイト内) 英語
http://www.scout.org/front/docs/C0508tsunami_e.pdf
http://www.scout.org/front/docs/C0503tsunami_e.pdf
http://www.scout.org/tsunami/docs/tsa_letter.pdf

この中で特記事項としては、USD$10,000までのプロジェクト費用が選考後、各プロジェクトに当てられるというものです。これは、ユース年代には一番大きなことかもしれません。
日本の場合は、直接津波被害があったわけではないので、どこかのスカウトと協同してプロジェクトを進めるということになりそうですが、今までのノウハウを活かせれば意義のあるプロジェクトになるのではないかと考えます。

既にスリランカやタンザニアでは、連盟を挙げてこのプロジェクトに賛同し、実施しています。
※ 参考資料 (世界スカウト機構ウェブサイト内) 英語
http://www.scout.org/tsunami/tsunami_projects.shtml

長期のプロジェクトになるのかどうかも不明ですし、日本連盟としてどの様に扱っていくのかもわかりませんが、通常の日本連盟規定に沿いこのプロジェクトを実施するには、6ヶ月前までに申請しないと活動を行うことができませんし、多県連に跨るスカウトでメンバーが構成される場合はさらなる事務処理上の困難も付きまといます。

現在では、この様な情報を手にいれているスカウトもかなり限定的になってしまっているため(注:英語がある程度読めればネット上にはあります)、例えこの事に興味があったとしても特定のスカウト内でしか処理されていないことが残念です。どの様にすれば、多くのスカウトにこの様な面白い魅力的なプロジェクトがあることを伝えれるのだろうか?そして、そのスカウトと共にどの様にプロジェクトに関わっていけるのかを考えていきたいです。

一先ず、個人的にできることとしては、恐らく 「スカウトムート2005」 のプログラム内に組み込み、広報含むプロジェクトの立ち上げに向けた議論を行うことや、まだ参加が決定しているわけではないですが、「世界スカウトユースフォーラム」で、パートナー国のスカウトを探すといったところです。後は、参考資料としてスリランカ・タンザニアの両連盟に資料提供を依頼するくらいでしょうか。

◆◆◆募金以外に災害に対して何かできるのではないか?◆◆◆
と考えている、あなた。必ずしも外国に行って何かをするだけではなく、この件について一緒に考えて活動してみませんか?! 一番大切なのは、恐らく英語力や経験、情報ではなく被災者に対する思いなのかもしれません。

愛・地球博に行って来ました

昨日、愛知県で開催中の愛・地球博に行って来ました。朝5時に起きて、会場には9時半ぐらいにつき、その後夜21時ぐらいまでひたすらいろんなパビリオンをみて回りました。ただし、メジャーな企業パビリオンには一つも入れなかった/入らなかったです。トヨタのパビリオンなんかは僕が会場に着いた時点ですでに一日分の整理券の配布が終了してましたし、他のパビリオンも3時間待ちとかだったのです。それでも「グローバルハウス ブルーホール」、「長久手日本館」「JR東海超電導リニア館」等、特に行きたかったパビリオンには入ることが出来ました。

グローバルハウス ブルーホール」では、”幅約50m、高さ約10mの2005インチ・シームレススクリーンという世界最大規模の迫力の大画面と、レーザービームを用いた高精細、高解像度による鮮やかな色再現性を誇るシアター。”が見られるのですが、感銘を受けたのはそのディスプレイ技術というよりは、コンテンツのほうでした。世界各地で撮影した映像を環境問題等に絡めてプレゼンテーションしていました。通常、環境問題のプレゼンテーション等は、いかに人間が大量消費・森林伐採をしているか、そしてそのペースが続くと地球はどう危険かという問題提起から入りがちですよね。しかしこのグローバルハウスブルーホールでのプレゼンテーションは、人間がいまどれだけの食物を生産しているか、どのようなエコなエネルギー技術を持っているかというのを紹介し、明るい調子で環境問題について触れていたのです。

環境問題を取り扱うプレゼンでは、マイナスのイメージからスタートして、危機感を煽るという方法しか見たことが無かったので、ポジティブな視点からスタートし、最後も理想像みたいなのを見せて、明るく終わるプレゼンがとても新鮮でした。僕らが取り組んでいるネパール・バングラ・モンゴル・フィリピン等もこのような明るいプレゼンができるのかなぁと考えさせられました。

フランスのスカウトからのコンタクト

先日、あるアドバイザー宛にフランスのスカウトから一通のメールが来た。そのフランスのスカウトとは前回のタイで行われた世界ジャンボリーでもスタッフ側の中枢部でボランティアをしていたという方で、今回のメールでは、フランスのスカウトと日本のスカウトで交流プログラムをやりたいから、ローバーグループを紹介してくれとのことだった。で、その日本人アドバイザーから私のほうにも相談があり、Pax IV Hyperで対応を引き受けることにした。

フランスのスカウトといえば、数年前私がバングラデシュに訪問した際に、フランスのスカウトもバングラデシュを訪ねてきていてバングラデシュ連盟の需品部で少し話をした。彼らは約1ヶ月間滞在をし、バングラデシュ各地を訪問したと言っていた。日本のローバーは1,2週間滞在して集中的に活動をするというスタイルであり、フランスのローバーはある程度長期間で視察型のプロジェクトを展開しているようだった。

ということで、彼らにも国際協力の経験があり、我々にもネパールでのプロジェクトを代表とした国際協力プロジェクトの経験がある。まだ先方から具体的な企画案は届いていないが、一歩進んだ国際的なコラボレーションができればいいなぁと考えている。また個人的にはいわゆる先進国のスカウトたちと協力して何かをするのはこれまでなかなか無かったので、そういう意味でも若干楽しみである。

フランスのスカウトと何かをしたいローバースカウト、ベンチャースカウトの方、是非、一緒に活動しませんか?ご連絡お待ちしております。

大学の授業に行きます

6月に、ある大学の看護医療学部の異文化コミュニケーションの授業にて講義をすることになりました。講義の内容は「ボーイスカウトのバングラデシュにおける保健衛生啓蒙活動」です。学部が看護医療学部ということで、保健衛生に合致しており、しかもボーイスカウトの活動はバングラデシュのスカウトや原住民の方との異文化コミュニケーションを通して実践するものなので、内容がぴったりなんです。

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(バングラデシュの農村部での保健衛生啓蒙活動風景)

これまでも、ボーイスカウトでの子供・大人や地元のロータリークラブ、企業の社会奉仕部みたいなところではプレゼンテーションをしてきましたが、今回は看護医療について専門的に勉強をしている学生を相手にするということで、聴衆側の内容に対する本気度、知識がかなり高いと予想しています。だからこそ、本気で発表準備をしようと思っており、もしよろしければ、ブログ上でも皆さんの意見をお聞かせ願えればと思い書き込みをしています。

伝えたいことと内容は以下のような感じを考えています。
 1、映像・音楽: 発展途上国の保健衛生の現場の雰囲気を伝える
 2、写真: 解説とともに具体的な活動紹介をする
 3、講義: 異文化コミュニケーション実践報告をする
講義形態として、なるべくマルチメディアを駆使したいなぁと思っています。百聞は一見にしかずなので。

また、内容としては、「バングラ人との異文化コミュニケーション」と「バングラでの看護医療活動」を中心にするのが興味を持って聞いてくれるのかなぁと思っています。あとは現役の学生にとっては、じゃあ自分もそういう活動に参加したい場合にどのような団体を訪問すればよいか、お金はどう工面するか、知識・スキルはどのように習得したら良いかあたりに興味があるのですかね。

まだ時間があるので、いろいろと検討しながら準備をして行こうと思っています。

日本連盟初の委員公募!?

今日の日本連盟の事務局ニュースに「教育本部委員の募集について」という案内が出てました。

これまでの日本連盟の委員の選定方法は、過去の委員や事務局によるいわゆる一本釣りだったのですが、ついに公募形式で、だれでも立候補できるようになったようです!ちょっと驚きました。

Gregory: ボーイスカウトから生まれた製品

「バックパックのロールスロイス」、「背負うのではなく、着るパック」と称されるバックパックメーカーがあります。名前はGregory(グレゴリー)、創業者はウェイン・グレゴリーという方。おそらくアウトドアを好きな人にとっては、このブランドは有名なものであり、その製品の高い品質も知っていることであろう。

で、注目すべきはこのウェイン・グレゴリーさん、実はボーイスカウトであって、ボーイスカウトのプロジェクトの一環(日本で言うと特修章取得のために?)として、14歳の時に初めてバックパックを作ったのがきっかけとなり、それ以来革新的な製品を作り続け、今では世界中で使われているパックパックメーカーになったのです。

ボーイスカウト出身者の偉人は米国などでは多くいるのですが、ボーイスカウトでのプロジェクト・活動がそのまま起業・ビジネスにつながったケースは結構珍しいのではと思いました。しかもボーイスカウトのアウトドアに強そうなイメージが、グレゴリーのブランド価値向上にも少し関係するのかなと考えると、ボーイスカウト発のビジネスも面白いと思ったのです。

会議のための会議?

昨日、ボーイスカウトの機関紙である「スカウティング2005年4月号」が届いた。今日はその17ページの「第4回アジア太平洋地域スカウトユースフォーラム」と「Rover Scouting: 全国ローバース会議&ユース委員会」という記事を読んでの感想を書いて見たいと思う。

これらの記事は双方とも、ローバースカウトのフォーラムへの参加報告、会議体の設置提案についてであった。しかし、双方とも会議の会議にはなっていないだろうか?本当に議論をしたい内容があるわけではなく、会議への参加自体に興味があって、議論事項については興味がないのではないだろうか?確かにローバースカウト年代にとって自分の意見を発表するスキル、コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキルが重要なのには間違いない。しかし、それぞれアジア太平洋の代表、各県の代表、地区の代表を集めて行う会議なので、それだけではもったいない。

特に「第4回アジア太平洋地域スカウトユースフォーラム」の報告者3人は全員とも英語でのコミュニケーションの問題を挙げているが、それが本当の問題なのだろうか?本当の問題は、主張したい事項を持たないことだとおもう。何を主張したくて、何を提案したくて、それぞれの会議に参加しているか、ということを自問自答してみれば明らかになるだろう。「いや、会議に参加して見たかった。交流をしたかった。」という答えだったとしたら、私の予想は当たっていたことになる。本当に主張したいことを持っていた場合には多少の語学力のハンディキャップは乗り越えられると思うのである。

じゃあ、もし僕がいま、APRや世界的な会議に行くとしたら、何を提案したいか。
 ・ 発展途上国での多国籍ローバーによる地域開発プロジェクトの提案
 ・ 次期サッカーワールドカップでの多国籍ローバーによるボランティアの提案
 ・ 世界スカウト事務局でのローバースカウト向けインターン制度
等は面白いと思うが、いかがだろうか。

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