私とモンゴル派遣

「モンゴル」
きっかけ:
モンゴルについては企画・計画・実施・評価のどれも主体的には参加していない。後輩のプロジェクトにアドバイザーとして参加したという位置づけである。慶應義塾大学のスカウト組織である慶應義塾大学ローバースの夏季プロジェクトとして、2003、2004年にモンゴルにおいてスタディツアー的な派遣を行っており、副長就任にともない2004年のプロジェクトに指導者として参加した。

内容:
モンゴルにおいては、ゲルでのホームステイ、ゴビ砂漠でのハイキング、NGOの活動視察、企業訪問等を行い、多角的にモンゴルを見てきた。派遣としても、参加者の半分が各種海外派遣の経験者でアドバイザーとしても楽な派遣であった。本派遣については大学ローバー企画の派遣として、今後とも特徴のある派遣にしていこうという現役メンバーの考えがある。これまでのストイックに国際協力を追及してきたバングラデシュやネパールの派遣と比較して、気楽に楽しめた印象がある。

得たモノ:
これまで発展途上国での開発協力という位置づけでバングラデシュやネパールのプロジェクトが存在したが、スタディツアー的なモンゴル派遣というのも面白いと感じた。また現役メンバーではなく、アドバイザーとしての参加というところに若干の違和感を感じたが、今後さらに指導者としての資質を高め、より良き青少年育成を行っていけたらと思う。

ただ、ここまで来て、日本のローバースカウトにおける海外派遣・プロジェクトの限界というか、可能性の多くが見えてしまってきた気もする。世界ジャンボリーや世界ムートの求心力が弱くなり、この7,8年間国際協力プロジェクトが日本のローバーにとっての求心力になっていた。そしてそれは今後も成長の速度は若干落ちるかもしれないが、ボーイスカウトの重要な要素の一つとして残るだろう。国際理解・交流としてのジャンボリーやムート、そして国際協力・貢献としてバングラやネパール、そしてその次に来るべきプログラムは?まさしく”The best way to predict the future is to invent it.(Alan Kay)”とりあえず、やってみせろって奴ですな。

私とネパール派遣

「ネパール」
きっかけ:
大学3年時の秋に、学校の授業を休んで、環境NGOのスタッフ向けの海外派遣研修である「環境事業団地球環境市民大学校ネパール・バングラデシュコース」に参加した。2つの国で、現地の環境系・開発系のNGOを訪問し、具体的なケーススタディを通して勉強するという内容だった。そして、この時に受けたネパールでの山や町の美しさの印象と、ネパールがバングラデシュでの上流部であり、ネパールでの森林伐採がバングラデシュでの水害につながるという安易な発想のもと、Pax IV Hyperによりネパールで植林プロジェクトをやろうという発想にいたった。

内容:
Pax IV Hyperのメンバーとネパールのローバースカウトにより、首都のカトマンズ近郊において植林プロジェクトを行っている。プロジェクトは私が大学院1年時に始まり、当初は登山関連のNGOで著名な登山家田部井淳子氏が代表になっているHAT-Jと協力してプロジェクトを行っていた。最近では、独立して、Pax IV HyperとネパールのローバーグループであるKantipur Rover CrewとEver Green Rover Crewとの協同プロジェクトになっている。回数を重ねるごとにプロジェクトの内容も植林だけに留まらず、生活環境維持、水・土壌調査なども行うようになってきた。

得たモノ:
本プロジェクトにおいては、私の役割は当初の企画・計画と、協力者・助成金集めであった。事実、本派遣には参加してなく、準備派遣という現地のスカウトとのミーティングのための派遣にしか参加していない。しかし、プロジェクトを行うのに必要な協力者・助成金については第1回目から、衣装協力としてユニクロ、実施協力として上述HAT-J、そして資金協力としてソニーマーケティング学生ボランティアファンドを得ることが出来た。最近では、イオン環境財団や財団法人国際交流基金からもファンドを得ており、さらに内容の充実を図っている。

私とバングラデシュ派遣

「バングラデシュ」
きっかけ:
アメリカ・カナダでのスカウト特別海外派遣を無事終えた秋のある日、早稲田大学で開かれた「ローバースカウト研究集会」に参加した。そこでT氏という愛知のローバースカウトが「ボーイスカウト日本連盟アジア太平洋提携プロジェクト(バングラデシュ)派遣」について説明していた。バングラデシュ派遣では現地の村人を対象に保健衛生啓蒙活動をやる、その年の冬が第1回派遣とのことだった。その時は、自分はアメリカやヨーロッパは好きだが発展途上国には興味はない、だから派遣にも参加しないという発言をしていたように思う。しかし、僕のどこかにその「バングラデシュ」というキーワードは存在し続き、その翌年の第2回目派遣には自分も派遣団の一員として参加することになっていた。当時大学2年生だった。

内容:
バングラデシュでは、農村地方においてバングラデシュのボーイスカウトとともに貧困家庭を回り、子供や女性を対象とした保健衛生啓蒙活動を行った。具体的には、下痢の際に効率的に水を取る方法である経口補水療法の指導、トイレ作成、栄養バランスの取れた食事の勧め、歯磨きの指導等である。約2週間の派遣期間中の1週間をプロジェクトに費やし、農村部の学校の校舎に雑魚寝をしながらのプロジェクトであった。

得たモノ:
初の発展途上国かつイスラム教国訪問・滞在ということで、私が受けた衝撃はすさまじかった。日本から現地の空港に深夜到着した際は、失礼ながらもここは地獄か、とも思った。しかし、現地の人と一緒に活動をすることにより、いまは途上国ではあるが、その発展へむけての力強さ、そしてイスラム教のストイックだけど、人生・世界に対する真面目な考え方等、精神的に学んだことはすさまじく多かった。
私は本プロジェクトには2回参加しており、1回目は上記のような強烈な異文化により、ただショックを受けていたのだか、2回目は保健衛生啓蒙活動について、リーダーとしてプロジェクト全体のマネジメント、リーダーシップという面で努力し、学んだ。また発展途上国における開発協力、非営利組織論についても身体で学んだ。そしてここでの興味がその翌年の「環境事業団地球環境市民大学校ネパール・バングラデシュコース」に僕を引き付けた。(ネパール編に続く)

ボランティアの是非:新潟県中越地震

2004年10月29日の「新潟県中越地震」というエントリーで、Pax IV Hyperのメンバーの何人かが現地に奉仕に行っていることを述べた。今日はその概要報告と、メンバーの1人から挙げられた疑問について紹介したい。

Pax IV Hyperのメンバーで現地に入っているのは今現在4人。地震直後には8人いたが、その後人数に変動がある。当初からメンバー内にある議論として、世の中(TV、新聞等の報道等)的によく取り上げられる震災直後だけでなく、人数は少なくなったとしても長期的に奉仕をすべきだとという意見が出ていて、それを実行しようとしているのだ。主な内容は以下の通りである。
 ・ 活動場所は新潟県小国町
 ・ 奉仕内容は避難所での雑用(掃除・食事等)
 ・ 宿泊場所は避難所と、その周辺で野営という2グループに分かれてた
 ・ 今後は震災を受けた民家内の清掃ボランティアが始まるそう

数年前の阪神大震災の時にも出たのが、今回もメンバーの1人から「震災直後で現地が混乱している時期に、技術も情報もあまり持たない人間が現地に行くこと」について、意見を求められた。その裏には、都会の若者が来ても、逆に交通渋滞を引き起こしたり、そもそも奉仕内容(技術的に)も限定されるのであまり役に立たない、という見方もあるのだろう。私も時にはそう考える。同じような議論は国際協力(バングラデシュ派遣・ネパール派遣)でもよくある議論で、いまだに結論は出ていない。私としては以下のような考えのもと、今回は現地に行っているメンバーを全力でサポートしたいと思っている。
 ・ 今は頭で何かを考える前に、身体を動かし、行動をする時である
 ・ 我々の奉仕が必要か必要でないかは、我々が判断するのではなく、現地で判断を求める
 ・ 現地の人には失礼だが、これも経験・教育の一環として、活動させてもらう

とにもかくにも、震災直後はメディアも頻繁に取り上げるが、時間が経つことによって、だんだんと忘れられないことは願いたい。新潟は世界でも有数の豪雪地帯。冬に向かっているので、早急な復興&春までの持続的な協力が重要であろう。

私とスカウト特別海外派遣(カナダ・アメリカ)

「アメリカ・カナダ」
きっかけ:
高校3年生の春休み(大学入学直前)に参加した富士スカウト顕彰。その会場にて、「ボーイスカウト日本連盟スカウト特別海外派遣」の募集要項が配られた。募集要項を手にして、特に目を引いた事項は2点:「約40万円の派遣費用補助」と「完全自主企画・実施」。自宅に戻り父親と相談した次の瞬間には挑戦してみようということになっていた。まさしく、すべては勢いだった。日本国内での野営生活は一通り経験し、次は海外での移動キャンプに行こうという流れは、幼年時代から野営を中心としたスカウト活動を行ってきた少年にとってはごく自然だった。

内容:
選考に通り、無事派遣が決まった私の計画は「カナダ・アメリカにおける国立公園とキャンピング」だった。表向きは、カナダ・アメリカでの自然保全について、国立公園という仕組みを通じて調査するというもの。国立公園を実際に歩いて写真撮影をしたり、旅行客にインタビューをしたり、事後に文献で調査をしたりした。ただ、個人的には3週間もの1人旅、さらにそのうち1週間はカナディアンロッキーを1人で自転車で移動しながらのキャンプだったので、調査・研究などにはほとんど力を注がなかった(笑)。時にはブラックベアに遭遇したり、時には栄養補給を怠り、上り坂を登る力が完全になくなったりと、日本ではできない経験を出来た。

得たモノ:
それまで数年間ボーイスカウトで学んできた野営技術が、単独・海外野営においてどれだけ通用するかを試せた。また、まさしく自分の体力・精神力との勝負だった。カナディアンロッキーの一部では10km以上登りの続く道があり体力の限界を知ったり、初めての1人旅ということで、すさまじい寂しさ・心細さを感じたり。しかし大学1年時の夏休みに取り組んだ本個人プロジェクトにより、その後の大学人生は決定付けられたように思う。何よりも自信がついた、他人と比べた自分の優位性ではなく、字の通り、自分自身に対する信頼感・信用だ。(バングラデシュ編に続く)

新潟県中越地震

新潟の地震について、すでにボーイスカウト関係者で現地に奉仕で行っている人がいます。おそらく今後も行こうと考える人もいるのではないでしょうか。このような緊急事態では情報が錯綜することも多々あるので、こちらのサイトでは情報を集めることはせず、すでに動いているサイトを紹介します。なお、我々のメンバーも数人すでに現地に入っているので、こちらに連絡をしていただいても、もちろん構いません。

スカウト@災害ネットワーク
http://river.advenbbs.net/bbs/youth.htm

Pax IV Hyper Blog: 海外プロジェクト:「私とXXX派遣」

メンバーの1人から、ブログの活用案として、プロジェクトの紹介をしてみればという下記のような提案があった。

Pax IV Hyperはその原理に基づき、自らの問題意識から数多くの提言、プロジェクトを行ってきた。成功談、失敗談を問わず、それらの一連の行動をブログに紹介することで、他のローバースに新しいプロジェクトを作り出すヒントを与えることが目的である。

各種海外派遣の計画書・報告書ではカバーしきれていない、海外派遣・プロジェクトの真実・個人の思想等を今後数回に渡り紹介していきたいと思う。海外派遣について考える際にも、その教育的価値、プロジェクトのマネージメント法等、視点は幾つかあると思うが、第1弾では「私とXXX派遣」と題して、その派遣の概要と派遣が私個人に与えた影響について紹介していきたい。ちなみに我々のメンバー的に、現在ボーイスカウト日本連盟ローバースカウト部門の主な国際協力プロジェクトである、バングラデシュ、フィリピン、ネパールはもちろん、その他個人プロジェクト、世界ジャンボリー等についても触れる予定である。

追記:なお、上記主要国際プロジェクトの客観的評価については、
http://www.rovernet.jp/paxiv/archive/youth_comparison.pdf
にある。

ブログの意味と必要性

質問:このブログを書く意味は何か。誰を対象とするか。テーマはどうするか。
答え:まずは自分や仲間達の考える機会を作りたい。その後、我々のグループの持つ経験・知見等を当サイトにアップすることにより、好影響を日本のスカウト関係者・青少年教育関係者・非営利組織関係者に与えたい。テーマとしては、ボーイスカウトネタ、発展途上国/国際協力ネタ、青少年教育ネタ、非営利組織ネタを扱っていこうと思う。

当然、経験・知見というのはある程度の年長者・経験者でないと持っていない。我々のグループは所詮20才台の集まりであり、まだまだ発展途上であることはわかっています。したがって、本サイトの品質向上のためには、仲間のみんな・読者の方々の協力が必要です。テーマの提案、文章の書き方等のリクエスト・アドバイスをお待ちしております。是非とも積極的にコメントをいただければと思います。

キャリア生成とスカウティング

私は大学院まで計算機科学をやっていたが、学部1年から常にダブルメジャー(二つ目の選考)として、ボーイスカウト・国際協力・アウトドアを位置づけていた。さて、話を一般化し、人生におけるキャリア生成とボーイスカウト(特にローバーリング)について考えてみたい。私が約8年間見てきた感じでは、(日本では)大きく分けて二つに分かれると思う。

1、大学の専門と関連付けるなり、二つ目の専門として捉えるなりして、ローバーリング(国際協力や青少年教育等)を大学とボーイスカウトの双方で扱い、相乗効果を狙う者。
2、ボーイスカウト活動は、自分の専門ではないと割り切り、人生における幅広い経験の一つ・趣味・余暇として捉え、機会を活用する者。

南アジア・東南アジアのローバースカウトなどは上記以外の第3の考えを持つ者も多く、

3、社会に貢献できる年代として、奉仕をする・後輩育成に取り組む・恩返しをする。

という選択肢もある。日本にもリーダーとして活躍するローバーはここに入る。

どちらにしても、人生におけるローバーリングの位置づけを深く考えており、効率的・有効的だと思う。もちろん、上記3つ以外にもありうるだろう。逆に、自分にとってのローバーリングの位置づけが明らかになっていない者は、原隊のリーダーなり、周りの先輩と話をして、一回は真剣に考えるべきだと思う。[自分のカヌーは自分で漕ぐべし。]

Are you prepared?

全世界のボーイスカウトである人なら知っている・実践しているBe prepared.
そして、Pax IV Hyperのワッペンに書いてある”Are you prepared?”
もちろん、語源はボーイスカウトのモットーである”Be prepared(備えよ常に)”

ここで派遣・野営における装備・技術と、Be preparedの意味を考えたい。
派遣や野営でBe preparedと言われると、通常、装備を増やし、あらゆる状況に対応できるように道具・服装を多く持っていくことになってしまっている。しかし、本来の意味は、身体・技術の鍛錬をし、あらゆる状況を身一つで乗り越えられるような訓練・準備をしておくということだ。すなわち、Be Preparedが実践できている人ほど、装備は少ないはず。素人には装備を必要以上に削減することは勧めないが、本当のボーイスカウトを目指すなら、頭には入れておくべきだ。

で、あなたはいかがですか?身体(精神も含む)・技術の準備は出来てますか?
Are you prepared? by Pax IV Hyper

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