本の紹介:最後の授業

「最後の授業-ぼくの命があるうちに-」(このサイトでは最後の授業の動画も見られます)をご紹介します。米国カーネギーメロン大学の教授であるRandy Pausch博士の本で、膵臓癌のため余命半年と宣告された大学教授が学生や自分達の子供達に対して行った文字通り「最後の授業」についての本です。

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一般的な感想等については、すでにあらゆるウェブサイト上で語られているので省略いたしますが、 本書の中のあるページ(P.155)の「格好よくよりまじめであれ」という章にボーイスカウトに関する、以下のような記述がありました。

僕はいつも、格好いい人よりまじめな人を高く評価する。格好いいのは一時的だが、まじめさは長つづきする。 まじめさは、かなり過小評価されている。まじめさは本質から生まれるのに対し、格好よさは表面で自分を印象づけようとするものだ。
まじめな人と言われて思い浮かぶのは、一生懸命に技能を身につけ、イーグルスカウト(日本で言うところの富士スカウト)に昇格するボーイスカウトだ。僕のところで働きたい人を面接していて、イーグルスカウトだったという志願者に出会うと、必ず採用したくなった。格好いいことに流されそうな表面的な衝動にまさる、まじめさがあるからだ。

富士スカウトになるには、本人のまじめさだけでなく、周囲の強力なサポートがなければならないということを最近指導者になってわかりました。ある意味、本人のまじめさが指導者を巻き込むんだと思います。また、これ以外にも、「経験とは、求めていたものを手に入れられなかったときに、手に入るものだ。」など、いい教えがたくさんありました。 平易な文章で軽く読めると思います。お勧めいたします。

Warm Up Camp 2008 開催

Pax Earth Nepalにおいて、以下のように法人設立記念Warm Up Campをネパールはカトマンズ郊外のキャンプ場にて開催いたします!参加希望者の方は至急ご連絡くださいますよう、よろしくお願いいたします。

日時:2008年9月19日-21日
場所:ネパール カトマンズ郊外  Sundarijal野営場
集合:9月19日15時にSundarijalバス停
費用:1000ルピー(日本円で4500円)
装備(持ち物):防寒具、運動靴、サンダル、雨具、寝袋、懐中電灯、水筒、自然を感じる感性・ユーモア・ガッツ・情熱等

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(集合場所であるSundarijalバス停。ここから写真の奥の方向に山を登ったところ(約45分)にキャンプ場があります。この写真は2003年撮影ですので、風景に若干の変化はあるかと思いますのでご注意ください。)

これまでPax IV HyperやPax Earthではボーイスカウト加盟員内に閉じた活動を行っていましたが、このウォームアップキャンプからは一般からの参加者も募ってキャンプを実施いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

日本にいながらできる国際協力

Pax Earthは、ネパールと日本でそれぞれ法人化しています。主な事業はネパールでの国際協力・教育活動・環境保全活動です。しかし、本職を持っていてボランティアとして参加している日本メンバーは、プロジェクト地に頻繁に通えるわけでもなく、もどかしさを感じることも多いと思います。ネパールへ何かをしてあげたい、けどどうすればいいかわからないというボランティアメンバーの葛藤をネパール代表のSujanにフランクに聞いたところ、ネパール側で意見を集めてくれ、以下のような回答が返ってきました。

・日本にいなければできない、日本の他の団体との提携や、資金の獲得、または文房具等の収集など、人・モノ・金をネパールに送れるような仕組みがあるとありがたい。Pax Earthでそれらを求めているだけではなく、他のネパール国内のNGOも同様のことを求めているので、分配することも可能。
・日本の大学や大学サークル等に働きかけて、ネパールの大学生との学生交流イベント・交流プログラムを実施する。ネパール側はトリブバン大学に協力をお願いできる。
・教育・環境・医療・ライフスキル等についての日本の研究者がネパールに訪問してくれるように働きかける。彼らとの交流によりPax Earthとしても成長するだけでなく、その研究者達にとって最適な調査・研究ができるようにPax Earth Nepalが手配できる。
・Pax Earth Japan側の会員を増やし、ネパールへの派遣を1年に1回だけでなく、1年に6回(2ヶ月に1回)ぐらいの頻度でできると各種プロジェクトで実現できることの幅が広がる。

日本にいながらにしての国際協力について、ネパールの青年達はこのように考えています。是非期待に答えられる様に、引き続きがんばっていきましょう!

2015年に向けたスカウト育成

参加者3万人(そのうち海外からの参加者約2万人?)に及ぶ国際的なキャンプ大会「第23回世界ジャンボリー」を2015年に日本でやるために、その大会運営を担うスタッフの育成が必要になってきました。以下に2015年までの主要な国内・世界でのイベントと、2008年現在13歳・25歳のスカウトが今後どのように歳をとっていくかを図示してみました。

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上図の通り、2008年現在ローバースカウトである人は2015年には30台前半になっており、能力的・経験的にも最も活躍できる年代になっている反面、それぞれ就職先での仕事が忙しくなっていることでしょう。また、2008年現在ボーイスカウトである人が、2015年にはローバースカウトになっており、世界ジャンボリー運営の実働主体になっているという計算になります。

大規模な国際イベントを企画・運営するには、「第1段階:参加者として参加する」、「第2段階:運営者として参加する」、「第3段階:運営者中心メンバーとして参加する」というステップを踏むことが良い経験になるのかと思います。つまり、現在ボーイスカウトであるメンバーには、2010年の第15回日本ジャンボリーと2011年の第22回世界ジャンボリーへは是非参加してもらい、2015年には運営者として期待したいということになります。

また、ジャンボリー経験者だけが運営者になるのではなく、ネパール・モンゴル・バングラデシュといった各種国際協力プロジェクトを経験したメンバーが運営者になることは、「国際協力・国際貢献」「開発」「環境」「協働」といった面で、従来の「ジャンボリー運営」的な視点だけではなく、南アジアでジャンボリー並みに盛り上がっている「Community Development Camp(コムデカ)運営」的な視点も加えられるということで、有効だと思います。

あらゆる年齢層が有機的に協調する必要があり、まさに今後の日本のボーイスカウトプログラムの教育的成果が2015年のジャンボリーで発揮されるのではないでしょうか。こんな議論をいろんなところでしていき、またその一環としてより日本のボーイスカウトによる国際協力が推進されるといいなと思います。

世界スカウト財団役員と青年たちとのラウンドテーブル準備開始

世界スカウト財団主催で、日本の青年たちと世界スカウト財団理事メンバーとの懇談会を2007年10月5日に開催します。昨日、日本側の参加者が確定し、各参加者への確定通知が郵送されたそうです。本件については約5ヶ月前から構想は聞いていたのですが、これで正式に動き始められそうです。

そもそもの構想は、世界スカウト財団理事会やBaden-Powell Fellowship認証式が10月に東京でおこなれ、その際に多くの世界スカウト財団関係者が来日するのに、日本のスカウトと会わないのはもったいないというモチベーションで始まりました。

ラウンドテーブルを企画するのに、まずは全参加者が対等に英語で話ができることを前提としました。また、英語で話ができるだけでなく、理事にむけて主張すべきことがありそうな、各種活動経験者を集めたいというモチベーションもありました。ということで、参加者の大半は、バングラデシュ、ネパール、モンゴル等の国際プロジェクト経験者になり、まずはこれらの条件をクリアした参加者を集められたと思っています。

本番までは残り3週間なので、この3週間でラウンドテーブル当日に日本側からプレゼンテーションする内容についてつめると同時に、予想される質問への回答準備、また世界スカウト財団や世界のボーイスカウト事情についての予習等を進める予定です。

ちなみに先週末まで、ひさしぶりに集中して論文を書いていたので、その際に思ったことをメモしておきます。このようなことを心に留めて、準備作業にかかりたいと思っています。

◆自分が完成だと思ったところがスタート地点になる
論文やプレゼンテーションの場合は、一通り流れを作って、それに肉付けをするわけですが、すべて完成した時点でやっと他人に見てもらえるレベルになります。つまり、それ以前で見せに行っても「あぁ、まだこことここが埋まってないね」「ひきつづき、執筆頑張ってね」ということになってしまいます。しかし、一通り完成していれば、「よし、それでは内容の精査に入るか」「ここの論理的な繋がりがおかしくないか?」と内容的な評価をしてくれるようになります。自分が完成だと思った時点が、他人にチェックをしてもらいコメントをもらえる状況であり、そしてそこからどれだけ改善できるかに、質の向上が掛かっているんだと感じました。

◆制限字数の5倍は書く
論文の制限枚数はA4で約8枚だったのですが、おそらく実際に書いた分量は40枚分くらい書きました。ある部分は完全に消去し、ある部分は完全に書き直し、ある部分は少しの修正で済んだ。自分が完成だと思った時点では、余計な脂肪分ばかりが多く、また必要な骨・筋肉が欠けている場合があるのです。そのために、先輩や先生にチェックをしてもらいながら、論文における脂肪分を減らし、骨・筋肉を増やし、無駄の無い論文を書くわけなんですね。

科学技術論文の場合は、すべて論理・理論で進めていくわけですが、ボーイスカウト的プレゼンテーションなら、感情に訴える・問いかけてもいいので、今回は論理的にまとめると同時に、写真や動画を多用しして、感情的・情熱的に訴えるものをみんなで作っていければなと思っています。

(ちなみに明日から23日まで海外渡航の為、メール・ブログでの返信・書き込みは不能になります。よろしくお願いいたします。)

本の紹介:ホットグループ

パックスの榊原さんに最強集団ホットグループ奇跡の法則—成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方という本を借りて読んでました。この本の概要は以下の通り。

義務感や帰属意識ではなく、ミッションや仕事で結びついた自主的な組織内集団が「ホットグループ」だ。現在、企業などの組織は、組織の中に無数のホットグループを必要としている。スピードと革新の時代には、旧来の指揮命令型組織ではなく、ホットグループのような適応力と創造性にあふれる集団が求められるからだ。本書はその特性を解説し、ホットグループを育て、活躍させるための方策を示す。

ホットグループは計画的に作られるものではなく、環境が整った時に自ら芽吹くという。ホットグループは、ルール優先の沈滞した空気では育たない。自由な環境で、組織が本当に変化する必要がある危機の時に成長する。ホットグループを育てたい場合、親となる組織はむしろ具体的な行動は取らない方が賢明で、古いルールや制約を解除すればよいと説く。

ホットグループはミッション一辺倒の集団で、政治力に欠けるため、親組織の中で生き延びるにはリーダーの役割が重要になる。自ら手足を使う「指揮者型」、人材、予算、政治力で支援する「パトロン型」、頑なにミッションに取り組み、前進させる「炎の番人型」と3種類のリーダーを示し、それぞれのリーダーがいかにグループを主導すべきか、具体的な心得を述べる。

ボーイスカウト日本連盟という親組織の中でのPax IV Hyperという関係図を想像しながら、この本を読むと参考になります。是非、親組織に属している方には読んでいただきたい本です。

ネパールプロジェクト長期計画(日本連盟提出用)

日本連盟に提出・提案するネパールプロジェクト長期計画(7.8MB)ができつつあります(今後修正・更新の可能性あり)ので、皆様にも公開し、広くご意見を頂戴したいと思っています。この長期計画は、ネパールプロジェクト経験者である横澤さん・大塩さんを中心として、和田さん、佐藤さん、加藤さん、山中さん、山本さん等のパックスメンバーの協力により作成されました。以下、長期計画提案書の「はじめに」からの抜粋です。

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本提案は、ユーススカウトグループPax IV Hyper(以下、Pax IV Hyperと省略)による平成18年10月に財団法人日本ボーイスカウト連盟(以下、日本連盟と省略)に申請された「海外派遣企画の公募」により、平成19年度より日本連盟の主催事業となった「ネパールプロジェクト」の事業計画に関するものである。

Pax IV Hyperでは、2002年3月より過去5年間にわたり、ネパールのボーイスカウトと共に「ネパールの自然環境保全」を事業理念として、協力協同の運営体制の下で、継続的にネパール王国で環境保全活動を実施してきた。その礎を参考にしてネパールプロジェクトの運営手法の変遷、各年度ごとの事業特徴、得られた収穫などを「これまでの5年」として総括し、日本連盟の主催事業としてローバー年代のスカウト達が如何なる方法で自発的なプロジェクト運営を進めていくかに関してをこれまでの活動背景を振返りながら10年という長期的な計画を考案し、「これからの10年」としてまとめたものである。なお、後にも記載をするが過去のプロジェクトは日本連盟規約13-5-7の海外派遣承認申請への申請が難航した事により平成19年度より「海外派遣企画の公募」への申請の実施を決定したという経緯がある。

また、本提案の作成にあたり、これまでネパールプロジェクトに関わった多くのスカウトの意見が反映されており、これからの日本連盟へのネパールプロジェクトに関するPax IV Hyperとしての協力手法をまとめたものであることを付け加えさせて頂く。

モンゴルプロジェクト2007:全員無事帰国

モンゴルプロジェクトの陰山君から、無事帰国報告のメールがありました。

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陰山雄平です。

昨日、全員無事にモンゴルから帰国しました。病気でプログラムを休む人は一人も出ず、全てのプログラムを無事にこなす事が出来ました。モンゴルスカウトもみんな元気でした。

現地での日程変更や、水、お湯が出ないなどというようなトラブルは例年通りありましたが、みんなうまく順応してやりすごしました。

藤木さん、急遽アドバイザーを御願いする事となった金沢2団の刈本さんを始め、プロジェクトの実施にあたりご協力くださいました多くの皆様に、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

クルーはこれから評価作業に入り、報告書作成を行います。皆様に報告が出来る事を楽しみにしております。

Google Map新機能テスト

Google Mapが簡単に自分のサイトに貼り付けられるようになったとのことで、そのテストです。Google Mapのページで「このページのリンク」というところをクリックすると、HTMLが出てくるので、それをこのページにコピー&ペーストしただけ。表示した場所は、現在、モンゴルプロジェクトメンバーが滞在中のモンゴルの首都ウランバートル。


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日本教育工学会での発表題目

Pax IV Hyperのネパールでの活動から派生した研究について、以下の通り日本教育工学会第23回全国大会にて発表が決定しました。一つのローバースカウト活動から複数の成果を生み出すこと、そしてその成果を一般化・モデル化して、広く社会の評価にさらす事。モンゴルメンバーが現地で頑張っている現在、ネパールメンバーは発表に向けて研究活動を頑張っています。

■日本教育工学会第23回全国大会
日時:2007年9月22日-24日
場所:早稲田大学所沢キャンパス

◆「全周囲パノラマ画像による教材の開発」
著者・発表者:加藤洋平(第1著者・共著)
概要:通信速度の高速化、コンピュータスペックの向上により、小中学校でもリッチコンテンツが扱える環境となってきた。空間再現力の高い全周囲パノラマ画像は様々な利用ができる。そのような背景のもと、本発表では360 度前後左右上下を自由に視野操作できる全周囲パノラマ画像を用い、デジタル地図と連携させ、ネパール王国の自然環境を題材とした環境教育教材の開発について報告する。

◆「ネパールにおける大学生による環境教育授業の開発」
著者・発表者:横澤樹一郎(第1著者・単著)
概要:本テーマは世界216 の国と地域で青少年教育を念頭に世界平和に向けた活動をしているボーイスカウトという運動体の中で実施したプロジェクトを客観的に分析した結果である。本テーマでは、ネパールと日本の大学生年代のボーイスカウトがネパール王国で実施している活動の一つである環境教育授業の効果について考察する事を目的としている。大学生年代の青少年の国外での環境教育授業の開発と実施に関して、深く掘り下げていく。

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