モンゴルプロジェクト:草原プログラム
4日目は半日の休養を入れ、草原プログラムという事でモンゴル自然環境省を訪問し、草原破壊の現状と政策についてお話を伺いました。草原プログラムはこの日の自然環境省訪問と、モンゴル各地での土の採取と東京農業大学での分析という2本だてのプログラムです。
モンゴルは森林は北部の一部地域にしか広がっておらず、殆どは草原とゴビ(石ころとほんの少しの草が生えてる乾燥した地域)が広がっています。近年、過放牧や雨量減少などの人為的原因により草原が破壊されているという話を日本で聞き、植樹よりも現状に合った活動なのではないかという事で草原破壊に関するプログラムを模索する事になりました。今年は来年度以降の本格的な実施に備え、情報収集や調査を主に行う事になりました。
(緑の長城計画担当者の方々)
モンゴルでは緑の長城計画というものを行っており、これは植樹によりモンゴルの西から東まで木のベルトを作るというものです。最初に緑の長城計画についてお話ししてくださり、その後私たちから質問をしていきました。
最後私たちから、「私たちのような活動をしているものに、どのような事を望むか」という質問をした所、自然環境省が行っている調査に参加しないかという提案が返ってきました。日本・モンゴルスカウトと自然環境省でプログラムを行う。これは非常に興味深い構図です。自然環境省という国の政策を行う方々とモンゴルの自然に関してプログラムを行えたら、非常に効果的な活動が出来るかもしれません。
ただ、日本のスカウトが外国の政府と連絡をとる場合には、日本連盟を必ず経由しなければならないという規約があるので、まーその辺どう言われるかわからないですが、モンゴルプロジェクトのような国際協力プロジェクトを本気で行うなら、そのような事例も多々出てくるでしょうから検討したいものです。
(この日はオランダの海外協力省の人たちも来ていました。)
プログラム後はモンゴルスカウトとUB近郊の高台にある、ザイサントルゴイという観光地に行きました。ここはハルハ川戦争(いわゆるノモンハン事件)でのモンゴル、ソ連の勝利を記念して作られた記念碑です。社会主義時代のモンゴルとソ連の協力関係を表した記念碑でした。いまではここはUB有数のデートスポットになっているようです。眺めもいいですし。過年度クルーはここから見えたUB市内は、去年無かった場所に建築群が出来ていたり、大きく変わっていると言っていました。
(ソ連とモンゴルの兵士が協力して日本を踏みつけてますね。)
(UB市内全景。ここにモンゴル国民の半分以上が集中している。)
モンゴルプロジェクト:石鹸プログラム
派遣6日目、9月5日に石鹸作りプログラムが行われました。このプログラムは、3年前(希望の架け橋プロジェクトへの参加)から、母子家庭に向けての援助を目的として実施されてきました。今年は、全ての材料調達を現地で行い、母子家庭の方にとって手軽に作成できる環境を整えました。
(レクチャーの様子)
実際に、石鹸(廃油を使用した原価の安い石鹸)の作り方を母子家庭に伝授するべく、午前中はレクチャーを行いました。レクチャーの進行もスムーズでした。
(母子家庭の方も実際に製作)
母子家庭も積極的に、尚かつ楽しみながらプログラムに参加することができたと思います。
(日本・モンゴルスカウト、オルホン大学、商工会議所が協力)
石鹸作りレクチャーには、日本・モンゴルスカウト、母子家庭の方々に加え、オルホン大学日本語学科の学生達が参加し、参加者は40名を超え、4団体の交流も十分になされました。ちなみのこの人数を車2台で運んだのは今でも信じられません。
(モンゴル連盟での会議の様子)
午後は、午前にレクチャーした石鹸を実際に販売の流れに乗せるべく、モンゴルスカウトとミーティングをしました。国内の一般的な市場に乗せるというモンゴルスカウトの認識と、チャリティ−の意味を込めた外国人向けの販売をするという日本側の認識のギャップがあったため議論は白熱しました。最終的には、日本側の意見がモンゴルスカウト納得の上で反映されました。
結論として、石鹸にこだわらず、母子家庭の援助に繋がりやすい販売物を模索していくことが確認され、まずは石鹸から始めてみようという意見の一致のもと石鹸プログラムを終えました。尚、昨年作成した石鹸は、モンゴル連盟内で販売され、近々母子家庭にお金が渡ることになりました。
モンゴルプロジェクト2006報告会第1弾
パックス主催ではありませんが、モンゴルに関係する3,4団体合同で下記のように成果報告会を開きます。もちろんパックスも約20分間の発表の時間を与えられております。
日時:10月22日(日)15時〜18時
場所:横浜市立大学
主催:東アジア環境協働行動よこはま(EAEWy)
参加希望者の方がおられましたら、mongolia(atmark)rovernet.jpまでご連絡いただければ幸いです。
モンゴルの小学校での環境ワークショップ風景
なお、これ以外にも11月18日と12月3日にも報告の場を設ける予定です。詳細が決まり次第、こちらのブログに掲載します。
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地球環境行動会議アジアNGO・NPO視察報告書
7月に参加した地球環境行動会議の海外NGO視察に関して、僕が行ったインドネシアを含め各国の報告書がこちら(地球環境行動会議アジアNGO・NPO視察)で公開されています。
写真を中心とした報告書なので、詳細を知ることは出来ませんが、雰囲気はつかめると思います。ご参考までに。
政治家との対話
7月に参加した地球環境行動会議の海外NGO視察に関して、他国の視察を行った国会議員さん達を交え、先週報告会が行われた。出席されたのは元総理大臣・元環境大臣・元文部大臣等のそうそうたるメンバーで、合計約15人。報告会の後の懇親会で、僕の隣は元環境大臣で、斜め前は元総理大臣でした。けど、どの方も、けっこうふつーのおっさんという感じで、親しみやすく話しやすい方ばかりでした。
(国会議事堂・首相官邸の近くのあるホテルが会場でした)
世界スカウト財団2005年報告書には”Scouts don’t get involved in politics.”という文章があったけど、僕はそれには賛成できないな。必要があるなら、政治も巻き込むべきだと思う。そうしないと変わらない何かがある気がするし、みんなで力を合わせた方が効率が良いと、単純に思うのさ。そして当然、政治家にできないこともある、それは草の根レベルの僕らが取り組めばいい。
ボーイスカウトをただの教育団体と認識するのは、もはや間違っている。そんな間接的な社会への貢献だけじゃなく、直接的な貢献が、今求められている。
世界中のGifts for Peace:(世界スカウト財団2005年報告書から)
約1年半前に始めてGifts for Peaceについて書き込みをし、昨日世界中のボーイスカウトのGifts for Peaceに関する取り組みが世界スカウト財団2005年報告書に載っていると書きました。今日は、その他国の取り組みについて、概要だけこちらに抜粋しておこうと思います。
■サウジアラビア:85カ国1500人のスカウトによって平和をテーマにしたキャンプ
■北アイルランド:カトリックとプロテスタントの双方からのスカウトの交流
■エルサルバドル:不良少年のスカウトへの勧誘や、少年の労働環境の改善
■香港:少年院(刑務所)とボーイスカウトの共同事業
■スウェーデン:海外からの移民のボーイスカウトへの勧誘とサポート
■南アフリカ:生まれながらエイズの子供達のボーイスカウトへの参加
■アメリカ:ハリケーンカトリーナによる被害の復興支援
会議をしている場合じゃない。フィールドに出るべし。
世界スカウト財団2005年報告書
世界スカウト財団の2005年度版年次報告書が以下のサイトで見ることができます。
World Scout Foundation Annual Report 2005
内容は英語ですが、写真を多用していて、かっこいいので、各種報告書作成の際には参考にしてみてはいかがでしょうか?
ちなみにタイトルは、「World Scout Foundation Annual Report 2005」となっていますが、内容は世界中のスカウトによって行われている”Gift for Peace”(日本版はこちら、だけど、ほとんど動いてないようです。。。(涙))という取り組みの紹介にもなっていて、世界で90ぐらいある取り組みの中の7つを紹介しています。
報告:ウッドバッジ研修所ローバー課程入所
参加してきました、3泊4日山中野営場。標高1000mだから湘南藤沢より6,7度は寒いし、3日目と4日目には雨にも降られ、けど家型テント+食堂用フライという、古典的で清く正しいボーイスカウトのキャンプだったので、なんか、どーやら、僕は真面目な好青年だ(笑)っていう気になって帰ってきました。
ご指導くださった所員の皆様、また、ともに学びあった入所者の皆様には大変感謝しています。これほどボーイスカウト活動に熱心で、真面目で、真摯に取り組んでいる人たちがいるんだということを知れただけでも、僕には収穫がありました。
日ごろPax IV Hyperという非常にアクティブで成熟度合いの高いユーススカウトグループを見ている僕としては、正直に言って研修の内容そのもの自体には物足りなさを感じたのも事実ですが、こうやって日本全体でのローバースカウトのレベルを上げていくんだろうなと今は自分を納得させています。
パックスとしては、今後のウッドバッジ研修所ローバー課程で使用可能なドキュメントや映像等を作成して、公開するのもありかなと思いました。
ウッドバッジ研修所ローバー課程入所
ボーイスカウトの隊長になるにはウッドバッジ研修所というのに入って研修を受けなければなりません。で、何を隠そう、僕はこれまで研修所に行ってなくて、副長にはなれるけど隊長にはなれない、海外派遣の引率指導者にはなれないという状況が続いておりました。別に嫌がって研修を受けていなかったのではなく、何かと都合が合わなくてここまで来てしまいました。
で、周りのプレッシャーと、自分としてもそろそろけじめをつけるという意味で、明日から3泊4日@山中野営場(山梨県)でウッドバッジ研修所ローバー課程に入所することにしました。日ごろローバースカウトの現場はかなり見ているつもりですが、理論的なところから再度勉強してこようと思っています。で、無事に修了した日には、(別になりたいわけではないけれども)隊長になる資格を得られるし、海外派遣の派遣指導者(自分の団から申請を上げられる)になれる!居眠りしないようにがんばろうっーっと。
モンゴルプロジェクト:バガノール地区訪問
3日目は首都ウランバートルから離れ、120キロほど車で行った所にあるバガノール地区のスカウト委員会を訪問しました。この地区ではデンマーク、韓国のスカウトと協力して植樹を行っており、今回は東アジア環境恊働行動よこはまの方の紹介で訪問が実現しました。
バガノール地区は一地区でありながら、海外からも参加スカウトがくるような大きなキャンポリーを開催するなど、とても活発に活動している地区でした。小学校の教室の一つがスカウトが使える場所になっており、スカウト活動も小学校のクラブ活動(?)の一つとして行われているようでした。
(スカウト委員会の方々にモンゴルプロジェクトの活動紹介)
農業プログラムという事で日本で準備してきましたが、現地で行っている事との関連も考えて、植樹の意義についての紙芝居を子供たちに向けて行いました。植樹を行うとどうなるか、なぜ植樹を行うのかなど、水、土壌、木の関わり方などから内容を考えました。通訳はウランバートルから一緒に来てくれたモンゴルスカウトにお願いしました。
(紙芝居。絵がうまいですよね。)
(バガノール地区のスカウト達。たくさんのスカウトが来てくれました。)
その後は日本からお土産に持ってきたスプラウトの栽培セットをスカウトに渡しました。スプラウトは自分たちで育て、成長を実感できるので植樹を行っているスカウト達にはちょうど良い勉強になるのではないかという事で持ち込みました。先に紹介した東アジア環境恊働行動よこはまの方々も、一度バガノールに紹介しようと試みたそうです。値段も日本ではそんなに高いものではないので、モンゴルに紹介できれば面白いかなと思います。
(種を入れ、水をあげる所まで一緒にやり、紙芝居で育て方、食べ方を紹介しました。)
日本から剣玉、コマ、だるま落しなどの伝統的な遊び道具を持って行き、一緒にスカウトと遊び交流や文化紹介を行いました。剣玉は人気が高く、うまく出来るスカウトもいました。言語が違う分、遊びを通して交流する事は、外国スカウト、特に子供達の場合では非常に重要な事だと実感しました。
(だるま落としはなかなかコツがつかめないらしく、難しそうでした。)
(スカウト達と。最後に子供達から手作りのお土産と、ネッチを頂きました。)
この地区では先に述べたように植樹活動を行っており、東アジア環境恊働行動よこはまの方が紹介したポット苗木という方法で苗木を育てています。ペットボトルで苗を育てるという、簡単な方法でスカウト達が苗木生産に取り組んでいました。また、近くの学校に使われなくなったグリーンハウスがあり、これからそのグリーンハウスを補修して苗木栽培に使うそうです。
(ビニールハウスを見学。今はトマトが植わっていました。)
植樹地は市街地から少し離れた所にあり、帯状に植樹がなされていました。バガノール地区は石炭が産出され、それによる大気汚染が発生しているそうです。そのため、炭坑と市街地の間に木でベルトを作り、大気汚染を防ごうと考えたようです。既に13キロほど植樹がなされ、水を与える為に行政も支援してくれているそうです。活着率(植えた木が、成長する割合)は結構高く、見た目でも育ってる木の方が多かったです。
(植樹地のようす。このような若木が、長い距離にわたって植わっている。)
この訪問で気付いたのは、若いスカウト委員会の方々が大きな力を発揮しているという事です。一地区でありながら、自分たちの町の為に行動し、子供達も巻き込んだ活動にしている所が本当に凄い事だなと思いました。海外のスカウトや行政、NGOも巻き込んだ事業にし、それを若い人が統括している。日本のスカウト業界ではなかなか無い事でしょう。それだけでなく植樹がうまく行くように様々な方法にもチャレンジし、自立、発展、地元事業化が行われているという点も特筆すべきでしょう。日本のスカウトも、スカウト関係だけでなく様々な他団体と関わる時期に来ているのではないでしょうか?
今回の訪問で初めてウランバートル以外のスカウトと関わりましたが、地方でも非常に活発に活動しているモンゴルスカウトの現状を見る事が出来ました。私たちがプロジェクトを行うだけでなく、モンゴルのスカウトのプロジェクトに参加させて頂くという、なかなか面白い構図も来年以降に向けて検討するのもいいのではないかと思いました。