環境教育のやり方
「木を切ってはいけません」「テントを建てても側溝を掘ってはいけません」「直火の焚き火はいけません」
最近の野営活動における指導では、このような注意が多くなってないでしょうか?環境保護という名目上、環境に対して少しでも悪いと思われることは全て禁止する。しかもその教育を小・中学生という若い頃から徹底させる。確かに若い頃に見につけたことは、大人になってからも離れず生活習慣として定着します。しかし、この「・・・はいけません」教育は本当に良い教育方法なのでしょうか。
私が小・中学生だったころはまだ「環境」は流行っていなくて、「薪がなかったら、燃えそうな木を切り倒して来い(実際には立っている木は燃えませんが。。。)」「テントを建てたら、雨に備え、必ず側溝を掘れ」「ガスストーブなど邪道だ、直火、命」という指導を受けてきました。そんな中で、自然での活動の楽しさ、厳しさを学んだのと同時に、その貴重さも身をもって感じてきたような気がします。
せめて若い頃は、「・・・・してはいけません」という指導法より、もっと純粋に自然、環境に触れさせて、その楽しさを植えつけたほうが良い教育法だと思うのです。確かにあらゆることを論理立てて禁止させることはできます。しかし、それは他人からの押し付け、言われたからやるということであって、自らそうしたいと思ってやった行為ではなくなります。自ら自然の楽しさ、貴重さを知っていてこそ、自らそれを守ろうとするのではないかと思うのです。
ということで、山に入れ、海に入れ、林に入れ!楽しく行こうぜ。
史上最強のリーダー:シャクルトン
「科学的な指導力ならスコット、素早く能率的に旅することにかけてはアムンゼンが抜きん出ている。だがもしあなたが絶望的な状況にあって、なんら解決策が見いだせないときには、ひざまずいてシャクルトンに祈るがいい」
世の中にいろんなスタイルの指導者・リーダーがいる。上記の言葉は、南極冒険の3探検家(それぞれ探検隊のリーダー)について、それぞれの特徴を説明したものである。絶望状態からの帰還を果たしたリーダーシャクルトンの漂流記「エンデュアランス号漂流」は、今後なんかしらの組織のリーダー、隊のリーダーになる人にお薦めします。
シャクルトンをテーマにした別の本「史上最強のリーダー シャクルトン — 絶望の淵に立っても決してあきらめない」の目次を見ただけでも参考になりそうです。
序章 並ぶ者なき史上最強のリーダー
第1章 何事も恐れずに、寛大さを持て
第2章 身分、地位よりも、意欲で人選
第3章 階層を破壊すれば、結束は固まる
第4章 命令しなければ、人は動く
第5章 過去を捨てることで、最善の選択ができる
第6章 試練とは、突破するためにある
第7章 絶望を乗り越えてこそ、目的地へ
第8章 シャクルトンは、すべての人に受け継がれる
「命令しなければ、人は動く」なんてのはなかなかしびれますね。自らの意思で活動をするもの、組織のボトムアップからの提案・活力で動いている組織が強い・長続きするんですよね。ローバー組織についてもそれが当てはまる気がします。
ボーイスカウトの時価総額
最近のライブドア、ニッポン放送、フジテレビの株式に関するやり取りを見ながら、株式会社の恐ろしさを感じてました。お金さえあれば、会社が買えてしまう。どんなに人気があっても、ブランド価値があっても、金さえあれば、他人のものになってしまう。ルール上はそうなのかもしれませんが、簡単には納得はいきませんよね。
で、ふと思ったのは、ボーイスカウトは買収されるか?答えは買収されないということになります。ボーイスカウトは株式会社ではなく、財団法人なので。では、もし、ボーイスカウトが株式会社だった場合は、組織としてどれだけの魅力があるのか=どれだけの株価をつけるのでしょうか?さらにはどのような企業から買収提案が出てくるのでしょうか?これだけの会員を持つ団体の時価総額はいくらになるんでしょうか?
あり得ない話を想像だけで話をするのは、あまり意味の無いことかもしれませんが、ボーイスカウトの存在価値を計る、ちょっと歪んだ一つの手法かなぁと一人で思ってました。後発の青少年教育団体に吸収合併されるという危機感なんてのがあったら、もっとボーイスカウトも活性化するんじゃないかなぁー。
応用問題としては、東京大学を買収できるとしたら?なーんてのも空想の世界だけでの話ではありますが、面白いですね。
ボーイスカウトエベレスト登山隊?
「数人のローバースカウトと1年間をくれれば、エベレストに登らせてやる。」
ネパールプロジェクトを立ち上げる当初、我々は登山家の田部井淳子氏が代表をしている日本ヒマラヤンアドベンチャートラスト(HAT-J)に協力をしてもらっていた。ネパールのルクラ周辺での植林活動やエベレストのベースキャンプ(標高約5000m)訪問等のプログラムはHAT-Jと一緒にやってたからこそ実現できたプログラムだった。
(2002年のネパールプロジェクトで訪れたエベレストベースキャンプ:写真後ろの山がエベレスト)
そんなプログラムの企画段階の時点で、HAT-Jの方に言われたのが上記のコメントである。当然、準備期間の1年間のうちに登山・高所順応・野営技術等をみっちり訓練して、複数人の経験者に協力をしてもらい実施するという段取りになるのだろうが、当時、あぁ、そんなことも可能なんだと衝撃を受けた覚えがある。その時点では、興味を持つ人が複数人集まったらお願いします、という返答をしていたが、それ以降この話は進まず、もっぱら首都のカトマンズ周辺でのボーイスカウト同士の地域開発プロジェクトを中心にネパールプロジェクトは進んでいる。
ある一定期間をしっかりした訓練期間に設定し、その後にハイアドベンチャープログラムを実施するといったローバーリングがあっても良い。エベレスト登頂でも良いし、アラスカのユーコン川下りでも良いし、コスタリカでのジャングルトレッキングでも良い。そんな夢のあるプログラムを実現しようとするローバーはいないのだろうか。
本の紹介:「非営利組織の経営」
これまでのブログでは、我々の「活動」や「意見」といった経験を通した事項に関して主に書いてきました。今後はそれらに加え、我々が参照している「ウェブサイトへのリンク(トラックバック)」や「書物の紹介」等も積極的にやっていきたいと思います。ということで第1弾。
この本は直接的には大学の授業で参考書として紹介されたのですが、実際にはボーイスカウトのバングラデシュ派遣のクルーリーダー、またそのOB組織の幹事長、さらにはPax IV Hyperの運営をやるにあたり大変参考になり、今でもいつでも引っ張り出せる本棚においてあります。「経営」「マネージメント」の分野では世界的に有名なピーター・ドラッカーが「非営利組織」について書いた非営利組織の経営—原理と実践という本です。もちろんボーイスカウトも非営利組織であり、この本の中でも「世界最大の男性組織」という風に紹介されたり、具体例として頻繁にアメリカのボーイスカウト・ガールスカウトに触れられています。
特にボーイスカウトをやっている方には、どのようにすればより良い団運営、隊運営、クルー運営ができるかということについてヒントを見つけられるでしょうし、もっとマクロ的に、ボーイスカウトって社会の中の位置づけとしてどうなっているのかということにも本文の中で答えを見つけられます。
ローバーの連盟内政治に対する興味
「東京のローバーコミによるコミュニケーション?:セイさんとタツロウさんの交換日記」にトラックバックしています。
確かに最近のローバースカウトにとって、「ローバース会議」「ローバー代表者会議」「日本連盟の全国会議、委員会等」に対する興味は少なくなっているように思えます。昔は日本のローバーリングの方向性を変えたいと思い、上記のような会議に参加・運営したのを覚えていますが、最近はわざわざ日本連盟や都連盟にまで出て行く必要が無く、結構自分達のまわりだけでやりたいことを実現できてしまうから、このような状況になったのかなぁとも思います。
また、考えうるもう一つの理由は、過去数年間の青年参画事情を見てきてしまっていて、それに失望しており、はじめから連盟・会議体には何の期待もしないし、求心力も感じないのかもしれません。さすがにこれほど日本連盟での青年参画事情が悪いと、ユース年代にも諦めが出てしまうのはしょうがないと思います。
ローバースカウトの政治(会議体、連盟での参画)に対する興味がなくなったことについて、それ自体は悪いことなのか。私は一概には悪いとは思いません(必要がないと感じるなら、それはそれでいいと思います)が、将来のこと・後輩のことを考えるならば、連盟に出て行って、奉仕したり、貢献して、環境作り、方針策定みたいなのをしてもらいたいなぁとも思うのです。
Pax IV Hyper Studio
会社を定時であがり、青山にある国際連合大学に行って、打ち合わせをしてきた。打ち合わせ内容はPax IV Hyperによるコンテンツ制作プロジェクト。Pax IV Hyperによる各地でのプレゼンテーションやWEB上で公開している報告書製作等をより強化するために、意見交換・お願い等を国際連合大学&慶應義塾大学にて教授をやっている方としてきた。以下、本日の議論事項を記述する。
Pax IV Hyperによるコンテンツ制作
これまでもプレゼンや報告会等のために、発表資料・報告書作成はやってきた。2005年4月に、何人かのメンバーが学生から社会人になることから、現場での奉仕活動、野外活動からある程度の距離を置かなければならず、しかしこれまで自分が得た経験や、ITスキルを活用して、青少年教育に生かすために、自分達の経験や、新たな取材・調査を通じて材料を集め、文書・発表資料・WEB・映像等を作っていこうということになった。
United Nations University: Media Studioの活用
私がフェローになっているLEADと慶應義塾大学、国際連合大学、シスコシステムズの4者で開設したメディアスタジオのインフラについて、今後の交渉にもよるが積極的に活用していくということになった。会議室としての利用はもちろんのこと、WEBサーバ、映像編集システム等も内容によっては利用可能になりそうとのこと。
Asia Pacific Initiative
上記のPax IV Hyper & LEAD or Media Studioのコラボレーションがある程度軌道に乗った段階で、今度はボーイスカウト日本連盟とLEADに正式にコラボレーションを提案し、グローバルな青少年教育団体と、グローバルな環境保全人材ネットワークを有機的につなげたり、もしくは国際連合大学のE-learningのノウハウ等をボーイスカウトのほうに移植したりできたら良いなぁと思っている。2年前くらいに上述4者によって立ち上げられたAsia Pacific Initiativeのようなアイデアにボーイスカウトのアジア太平洋地域も加われれば、新しい何かが出来る気がする。
大学の先生と話をすると、視野が広く、相手にしている世界も大きいので、あ、そーゆー見方もできるんだと気づかされることが多い。ただ、現実的には、抽象的なことばかり言っているわけにも行かず、具体例を作っていかなければいけないので、まずはPax IV Hyper数人で確かな実績をコンテンツ制作でやって行きたいと思っている。ボーイスカウトとITとは、言葉的には流行っているが、実態がなかなか見えないので、具体的な成功例を作りたい。
Killer Innovation
先日、ソニーという会社の経営陣が刷新されることが発表された。その企業の製品、ブランド、技術、経営、そして何よりも創業したときからのその歴史が日本国民に愛されてきたせいか、ニュースでも大々的に取り上げられた。で、アメリカのあるニュースサイトでは以下のような文章が載っていた。 “Inside Japan, Sony Corp. is considered something akin to a national treasure. It’s a company that has been emblematic of engineering excellence, killer innovation, and savvy marketing.”
この”Killer Innovation”という単語にグッときた。。。。Innovationは革新という意味。しかもそれにKillerがつくとなると、殺人的な革新とでも訳すのだろうか。とにかくちょっとしたマイナーチェンジなのではなく、世界を変えるような製品・サービス・作品を出すということなのだろう。で、このブログはボーイスカウトネタを中心にするという方針なので、最近のデジタル機器、IT事情、経営等はとりあえずおいておいて、ボーイスカウトの話につなげる。
ご存知かもしれないが、ソニーの創業者井深大は財団法人ボーイスカウト日本連盟理事長・総裁代行をやっていたこともあるのだ。なのに何故、日本のボーイスカウトはこんなにInnovativeじゃないのか。。。。現代の青少年教育におけるKilller Innovationはなんなんだろうか?そのKiller Innovationは誰が生み出しえるのだろうか?文部省、学校教育、それとも塾なのだろうか?ボーイスカウトがKiller Innovationを生み出しても良いのではないだろうか。
ソニーには設立趣意書なるものがある。前述の井深さんが書いたものとされている。
”真面目ナル技術者ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セシムベキ自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設”この文章、いくつかの単語を変えれば、ボーイスカウトにも適応できる気がする。”真面目ナル青少年ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セシムベキ自由豁達ニシテ愉快ナル理想環境ノ建設”
ボーイスカウト発Killer Innovationを是非!
(英文記事や設立趣意書を読みながら、ブログを書いていたら、妙にアツクなってきて、文章もまとまりのないものになってしまいました。。。失礼いたしました。)
第22回世界ジャンボリー開催地レース
次回の第21回世界スカウトジャンボリーは、スカウティング100周年を祝い、イギリス・エセックスで開催される予定です。
どのように開催地が決められるかというと、3年おきに開催される世界スカウト会議の場で、決議されるわけですが、実地調査委員というものが存在するわけではないので、プレゼンテーションの上手さと地道なロビー活動や対比させたイメージによって、各加盟国の1票が決まるといっても過言ではありません。
近年は、世界スカウトムートとの関連もうまく揃っていて、
世界ジャンボリー 世界ムート
95年 オランダ 96年 スウェーデン (欧州)
98−99年 チリ 00年 メキシコ (インターアメリカ)
02−03年 タイ 04年 台湾 (アジア太平洋)
07年 イギリス 08年 モザンビーク (別々)
11年 ??? 12年 ???
となっています。
世界ジャンボリーを開催できる加盟国というのは、全てというわけではないことです。開催にあたっては、国をあげて努力しないと不可能に近く、私が参加したチリの世界ジャンボリーでは、加盟員数が子供から大人まで全部合わせて約3万人という規模の連盟が、世界から自国参加者も含め約3万人を受け入れたということは相当な努力があったのではないかと推測されます。
さて、話は戻り2011年についてですが、日本は立候補を表明しています。国内では5箇所の候補地がありましたが、漸く決定しました。
http://www.shizushin.com/local_social/20050305000000000044.htm
選考結果は、静岡県・富士宮市ということで1971年に朝霧高原で開催されたものを再現するようなイメージを受けます。他の立候補国は、同じアジア・太平洋地域に属する、オーストラリア・シンガポールの2カ国と欧州地域のスウェーデンです。
客観的には、前回がタイで開催され、今度がイギリスなので、2回連続欧州はないのではないか?という推測や、タイとシンガポールは似たようなイメージがある?こと。87−88年にオーストラリアで開催しているので、サイクルが早い?ということなどもあります。(実例としては、同地域が連続で、オーストラリア→韓国となった例もあります)
肝心な中身の点でいうと、2005年9月に6年後のことを決めるので現実味が薄いと感じる人も多いと思いますが、各国で、戦略を立てて進んでいるようです。
例えば、オーストラリアは、実行委員長・副実行委員長クラスに30歳・29歳という若手を起用してきていることや、シンガポールの様に既にワッペン・ピンバッジを制作し、先月インドであった世界的な行事でプロモーションをするなどしています。
開催するにあたっては、いつも自国の利益ばかり考えがちですが、世界的な行事である以上、その利益は全ての青少年に属するものですので必ずしも日本が誘致に成功するようにとは思いません。スカウトとしては世界ジャンボリーに参加できるのは一生に1回。本当に運がよければ2回しかありません。2011年に14−17歳のスカウトが参加することを逆算すると現在、7−10歳くらいの青少年ということになります。
世界のどこで開催されるかは別として、彼らがこの大会に気持ちよく参加できるように、関わっていけたらと思います。
ベンチャースカウト:日本の離島へ
私が副長をやっている団のベンチャースカウト(高校生年代)では、グループプロジェクトとして、毎年春、離島でのキャンプをするようにしている。ちなみに私が現役のときは八丈島に行った。ベンチャースカウトなので、企画・計画・実施・報告については全て自分達でやるように指導し、もちろん島の選定も彼らに任せている。距離・時間・予算の関係から、伊豆七島のどれかの島になることが多いが、船を数時間(八丈島の場合は約12時間)乗って着くことになる。
(西表島の仲間川マングローブ地帯。奥に見える赤・黄色のはカヌー。高校生のときの八丈島の思い出もあり、昨年2月に一人で数年ぶりに日本の離島への旅を思いつき、行ってきたのだ。)
ボーイスカウトまでの段階で基本的なキャンピング技術、グループワーキング、プロジェクト法を学んでいるので、必要な技能は持っている。ただし、本格的に自分達だけで一つの旅をやり遂げたことは無いので、数人で力を出し合って、取り組ませる。
ベンチャースカウト(高校生年代)の指導においては、彼らにちょっと高めで曖昧な課題を与え、あとは彼らにやり方は任せるという指導を取る。そうすることにより、自分で考え、実行する経験を得られるし、後になってそれが自信となる。ちなみに私が高校生だったときに与えられた課題は「栃木県矢板市から半径100km以内で2泊の野営をした後に、JR矢板駅改札に何日の何時集合」という課題だった。私とK君の二人はバディを組み、尾瀬にて2泊することにした。(野営中に知ったのだが、このプログラムには約15バディぐらいが参加し、運営スタッフはすべての組がちゃんと野営できているか見回っていたらしいのだが、我々が選んだ野営地=尾瀬は車では来ることが出来ないので、見回りに来るのにも片道数時間もかかり、スタッフも苦労してたらしい。)
話は尾瀬にずれてしまったが、目的地を島に設定するのは、船や飛行機を遣わなければならないという点で、高校生には面白いのではないかと思う。本州だと日常生活で使用している電車・バスなどを少し多めに乗れば、目的地についてしまうが、離島だと普段使わない交通手段を使うことになるので、冒険感が出るのである。この春休み、皆様のスカウトを離島に出してみてはどうだろうか?